MABR

MABR(Membrane Aerated Biofilm Reactor、膜曝気バイオリアクター)は、膜を通じて酸素を供給する生物膜法の一種で、エネルギー効率の高い下水処理技術です。

従来の活性汚泥法に比べて、曝気エネルギーの削減や脱窒効率の向上が期待できます。

MABRとは何か

MABRは、中空糸膜などの微細な膜を通じて酸素を供給し、その膜表面に形成された生物膜(バイオフィルム)によって有機物や栄養塩類を除去する水処理技術です。膜を通して酸素を供給することで、直接水中に気泡を拡散させる従来の曝気方式に比べて酸素供給効率が高まります。

MABRの原理と仕組み

    膜を通した酸素供給
  • 中空糸膜の内側に空気または純酸素を供給し、酸素が膜を通じてゆっくりと水側に拡散します。これにより、気泡による酸素損失を防ぎ、高効率な酸素供給が可能です。
  • 生物膜の形成
  • 膜の表面には微生物が付着し、生物膜(バイオフィルム)を形成します。このバイオフィルムが有機物や栄養塩類を分解・除去します。
  • 同時硝化・脱窒
  • 生物膜の外側は嫌気的な環境となり、内側は好気的な環境となります。これにより、同一のリアクター内で硝化と脱窒が同時に進行し、窒素除去効率が向上します。

MABRのメリット

    エネルギー消費の削減
  • 酸素供給効率が高いため、曝気に必要なエネルギーを最大90%削減できます。
  • 処理効率の向上
  • 高い生物膜濃度により、有機物や窒素の除去効率が向上します。
  • 設備のコンパクト化
  • 生物膜による高負荷処理が可能なため、処理施設の占有面積を削減できます。
  • 低い汚泥生成量
  • 微生物が生物膜内で増殖し、過剰汚泥の発生が抑制されます。

MABRの課題と対策

    膜ファウリングの防止
  • 膜表面に汚れやスケールが付着すると、酸素供給効率が低下します。定期的な逆洗や気泡による膜の洗浄が必要です。
  • 生物膜の厚さ制御
  • 生物膜が厚くなりすぎると、酸素供給が阻害されます。剪断力の調整や適切な流速の維持により、生物膜の厚さを制御します。
  • 初期投資コスト
  • 膜モジュールのコストが高いため、初期投資が大きくなります。しかし、運転コストの削減効果で長期的には経済性が向上します。

MABRの適用事例

    下水処理場
  • 既存の活性汚泥法設備の改良や、新設の小規模処理場で採用され、エネルギー効率と処理性能の向上が図られています。
  • 産業廃水処理
  • 食品工場や化学工場の高濃度有機廃水の処理に適用され、高い有機物除去率を実現しています。
  • 養殖場の排水処理
  • 養殖魚からの排水中の有機物と窒素を効率的に除去し、水質改善と環境負荷低減に貢献しています。

まとめ

MABR(膜曝気バイオリアクター)は、酸素供給効率の高い膜技術と生物膜法を組み合わせた先進的な水処理技術です。エネルギー消費の削減や処理効率の向上など、多くのメリットを持ち、持続可能な水処理システムの構築に寄与します。その特性と課題を理解し、適切な設計・運用を行うことで、より高い効果を発揮することが期待されます。